FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

ノロイ/白石晃士監督

 これは怖い。清水崇監督『輪廻』以来、ホラー映画を見ていて久しぶりに恐怖を感じた。
 いまや定番のスタイルの一つとなりつつあるフェイク・ドキュメンタリー形式のホラー映画である。
 怪奇実話を手掛ける作家、小林雅文の家が全焼した場面から映画は幕を開ける。妻の景子の亡骸は見つかったが、小林本人の行方は知れなかった。小林はドキュメンタリー「ノロイ」の編集を終えたところだった。
 「ノロイ」には実に様々な人々、様々な現象が収められている。超能力少女、矢野加奈。彼女とその家族が巻き込まれたある出来事。霊感が強い女性タレント松本まりか。彼女が撮影で心霊スポットとして有名な土地を訪れてから、フィルムにはっきり現れた異変と、彼女自身の身の上に起きるようになった異変。自称霊能者、傍目には狂人としか見えない男性、堀光男。彼は宇宙から霊体ミミズが現れると妄信していた。
 そして……そして、小林が取材を進めるうちに、その存在に何度も出くわす中年女性と幼い男児。「かぐたば」という謎めいた言葉と、日本のある土地に古くから伝わるある呪術。
 小林は彼らと関わり合い、また彼ら自身も互いに関わりを持っていく。加奈は失踪し、まりえは自分でも知らないうちにおかしな行動を取るようになり、堀はなんらかの形で加奈の行方不明に関わりがあるらしい。
 景子は小林に協力し、時折「ノロイ」の関係者を自宅に泊めることがあった。
 未見だが、やはりフェイクドキュメンタリーもののダニエル・マイリック監督『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』ものの古よりも魔女伝説をテーマにしていると聞く。この『ノロイ』も、ある村に伝統として残る呪術と、能を思わせる儀式とを絡めているのが、効果を上げている。
 観客が最後に見せられる映像が、ホラー映画としての白眉。思わず鳥肌が立った。
 癖のある傑作。

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↑これもまた怖かった。↑身近な人間の間での評判はいま一つだが、見てみるべきか。