FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

夜明けの色を紡いで/リサ・クレイパス

夜明けの色を紡いで (ライムブックス)

夜明けの色を紡いで (ライムブックス)

『夜色の愛につつまれて』に続く、「ザ・ハサウェイズ」のシリーズ二巻目。
十九世紀の英国。ハサウェイ家の次女ウィンと、孤児ケヴは一つ屋根の下で家族同然に育ってきた。だが二人の間には、様々な違いがあった。
ケヴはロマ(ジプシー)の血を引く孤児で、闘士として育てられ、ある戦いで瀕死となったところを己の部族にも見捨てられ、ハサウェイ家に拾われた身の上。一方ウィンの兄レオは爵位を継承し、今はラムゼイ子爵と呼ばれる身で、ウィンを含めて一家社交界に加わるようになっていた。生まれた環境の違いばかりではない。頑健そのもののケヴと違い、ウィンは猩紅熱を患ってから極端に身体が弱くなっており、異国の診療所へと向かわなくてはいけなかった。
月日が流れ、ようやくウィンは家族の元へ、ケヴの元へと戻ってきた。ウィンに、ウィンの美貌に惹かれる医師ハーロウとともに。
ウィンとケヴのもどかしい恋に、ケヴの出生の秘密、そしてハーロウのウィンへの接近というエピソードが巧みに織り込まれていく。ケヴの出生の秘密が分かってからの、同じくロマの血を引くキャムとのやり取りは楽しい。
前の巻では……気の毒な事情はあるにせよ……とても鬱陶しい兄貴だったレオがずいぶん立ち直っている(前はひたすら妹の足を引っ張っていたのに、なんと今回は家族の役に立っているよ!)どうやら新しいロマンスも訪れたようで、おそらく次の巻ではレオと「彼女」が主役となるのだろう。

夜色の愛につつまれて (ライムブックス)

夜色の愛につつまれて (ライムブックス)