悪魔パズル/パトリック・クェンティン
- 作者: パトリッククエンティン,Patrick Quentin,水野恵
- 出版社/メーカー: 論創社
- 発売日: 2010/05/01
- メディア: 単行本
- クリック: 20回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
<パズル・シリーズ>の第五作目で、力強いサスペンス。最初はよくある設定の物語かと思いきや、周囲の人間の思惑が分かった辺りからの展開、そしてクライマックスでのひねりなど読み応えは十分あり。
ある事件に巻き込まれ、記憶を失った一人の男(読者には最初から彼がピーター・ダルースだと分かるが、本人には自分が誰か分からない)。目を覚ました彼は、ベッドの中にいた。彼は未亡人の母親、妹、そして妻といった、女性に囲まれていた。そして教えられた。あなたの名前は、ゴーティー。富豪の放蕩息子よ、と。母親も妹も妻も、とびきり美しい女性だったが、なにやらうさんくさい。男性の医者や使用人もうさんくさいという点では、同じだ。自分はなんらかの理由でこの「家族」に監禁され、なにかの陰謀に巻き込まれているのでは、と男は疑うようになる。
パトリック・クェンティンの作品群の中では『二人の妻をもつ男』や『わたしの愛した悪女』といった作品を連想させられる作品。何人もの魅惑的な悪女が登場するため、解説で横井司が書いているよう、こちらこそ『悪女パズル』の邦題が似つかわしいのではないだろうか。
記憶喪失という手垢にまみれたような題材を使っているものの、それまで未訳だった<パズル・シリーズ>の一冊が新たに翻訳され、広く人目に触れることになったという事実も含め、値段分の価値はきっちりとある。
ぜひともまだ翻訳されていないダルース夫妻ものの翻訳及び、手に入りにくいダルース夫妻ものの復刊……できれば新しい翻訳で……をお願いしたい。
- 作者: パトリッククェンティン,Patrick Quentin,森泉玲子
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2005/10
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 6回
- この商品を含むブログ (17件) を見る
- 作者: パトリック・クェンティン,大久保康雄
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1960/03/04
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 2回
- この商品を含むブログ (10件) を見る
- 作者: パトリック・クェンティン,高橋豊
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1981/01
- メディア: 新書
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (2件) を見る