ふたたび、恋が訪れて/カーラ・ケリー
- 作者: カーラ・ケリー,松本都
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2009/07/26
- メディア: 文庫
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落ち着いた雰囲気の、よきロマンス小説である。
派手な展開や官能場面などはあまりないのだが、そういった地味なところが一種の渋さ、そして風格さえも醸し出している。
十九世紀初め、英国はヨークシャー。若き未亡人ロクサーナは、二人の幼き娘を抱え、途方に暮れていた。牧師だった夫亡きのち、義兄が彼女達を養うと申し出た。だがそれは、妻帯者である義兄の愛人となることが条件だった。逃げ出した彼女は、小さく古ぼけた家を借りる。家の持ち主は侯爵ウィン卿。彼は、ナポレオンとの戦争から疲弊して帰ってきた男だった。戦争で親友達を失ったことばかりではない、自身の離婚による醜聞、肉親との不和、様々なものが彼を疲れさせていた。
ウィン卿が領地の視察に行った際、二人は知り合う。一緒の時間を過ごすうち、二人はやがて互いの心の傷を癒していき、ともに困難に立ち向かっていくのだった。
甘さはやや控えめ、どこか古風で静謐なムードの佳品。
こういうロマンスが読みたかった!