耳をすます壁/マーガレット・ミラー
- 作者: マーガレットミラー,柿沼瑛子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1990/02
- メディア: 文庫
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十年以上も前に読んだサスペンスである。どんな話だったか、すっかり忘れていたから、楽しめた。マーガレット・ミラーお得意の「失踪」を扱ったテーマの、風変わりなサスペンスだ。
メキシコへと旅行へ出かけた女友達二人、エイミーとウィルマ。ホテルには豊かな生活を夢見ながら、ホテルの客の会話を盗み聞きするのが日課の若いメイド、コンエスラがいた。
旅の途中、ウィルマは墜死する。エイミーは帰国し、夫ルパートの元に戻るものの、そのまま行方をくらました。エイミーを溺愛する兄ギルはルパートを密に疑う。
ラスト一行にのけぞるタイプの作品だが、この真相に察しがつく読者は多いはず。特筆するべきはそれまでも作中を包み込む物悲しく、エキゾチックな雰囲気にこそある。
代表作だとか傑作だとかとまでは言えないものの、マーガレット・ミラーという作家の特徴がよく出た秀作。