風船を売る男/シャーロット・アームストロング
- 作者: シャーロット・アームストロング,近藤麻里子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2010/04/30
- メディア: 文庫
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(現代から見れば)どことなく古風で、そして健全な作品を書くシャーロット・アームストロングの本邦初訳作。めでたい。まだまだアームストロング作品を復刊&翻訳していただきたいものだ。
『風船を売る男』とは、考えてみれば不思議なタイトルである。読んでも読んでも「風船を売る男」は出てこない。出てくるのは、裕福な夫の両親に幼い息子を奪われそうになりつつ、必死で息子を守ろうとしている若い母親と、夫の両親に依頼され、正体を隠したまま、この若い母親に接近し、罠に陥れようとしている男である。そして二人が住まうことになるアパートの一風変わった住人たち(特に三人の老女が魅惑的)
「『風船を売る男』ってタイトルはなんなんだ?」と考えていると、その登場シーン、そしてその使い方ににやりとするはず。
中盤はややかったるい場面もあるが、終盤の急展開からラストにかけてはやはり面白かった。