災転／霞流一

災転(サイコロ) (角川ホラー文庫)

　『災転』と書いて、「サイコロ」と読む。長編ホラー小説で、これまで霞流一の書いた本格ミステリしか読んだことがないのだが、驚くほど雰囲気が変わらない。
　弟子が扱った墓石がありえない形に曲がった。この責任をとるため、碑工師の飛崎漂二は原因の調査に乗り出していく。曲がった墓石の主は、暴力団すれすれ（そのものかもしれない……）の金融会社のドン。
　飛崎が、巫女にして霊力研究者の九能空美の協力を得て、調査を重ねれば重なるほど、この金融会社の周囲で死体が転がる。それは過去に酷い死を遂げた女の怨念と、この金融会社が抱える秘密とに関わっているらしい。
　ホラー＋エロ＋謎解き＋アクションともりだくさんの作品。少し前に読ん飴村行『粘膜蜥蜴』も笑ったらいいのか、泣いたらいいのか、脱力したらいいのか分からないラストシーンが待っていたが、こちらの『災転』の幕切れもなかなかのものである。

粘膜蜥蜴 (角川ホラー文庫)