FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

ミスター・ディアボロ/アントニー・レジューン

ミスター・ディアボロ (扶桑社ミステリー レ 8-1)

ミスター・ディアボロ (扶桑社ミステリー レ 8-1)

 禍々しい伝説!不可能犯罪!そして論理的解決!
 と、三つ揃ったクラシックミステリファンのための一冊。他の著書はスパイ小説やサスペンス小説が多いとのことだが、この作品はしっかりとした謎解きである。
 シルクハットとマントに身を固めたミスター・ディアボロ。大学の裏手の小道に現れるこの怪人を見た学生は、首を吊って自害したとされている。そしてまた大学関係者の前に、この怪人は現れ、そして衆人環視の中で消失した。やがて密室殺人事件が発生する。
 一部で脱力もののトリックで使われているが、古風な雰囲気のなかにあっては、それもかえって好ましい。
 インテリ揃いの関係者といい、やや傲岸不遜な名探偵といい、型に嵌まり過ぎた観はあるものの、この型が好きな読者ならば手に取って損はないはず。
 この出版社には、このままやや古めの本格ミステリを発掘してほしい。