口裂け女／白石晃士監督

口裂け女 スペシャル・エディション [DVD]

　このところ、日本のホラー映画を立て続けに見ている。その上での感想である。大人も子供も演技が下手過ぎ。ほとんど全員台詞が棒読みである。こんな話し方をする子供はいない。役者で唯一気を吐いていたのが、「口裂け女」を演じた水野美紀ではなかろうかと思う。
　都市伝説の中の怪物、口裂け女。その口裂け女の噂が最初に立った町に、再びこの怪物の噂が流れるようになった。しかも今度はただの流言ではすまなかった。実際に子供が攫われたから。男性教師の松崎は、口裂け女の正体に心当たりがあった。そして子供が攫われそうになると、彼にしか聞こえない不思議な呻き声が耳に入るのだ(誘拐の現場に近づくと、声が大きくなるよ)
　当方がまとめた上記のあらすじの最後の部分を読んで、教師の松崎がいわゆる電波系の人間のように感じる人もいるかもしれない。ちなみに実際に映画を見ていても、同じように感じる人が多いはず。あまりの頼りなさ、そしてうさんくささに、あんたは教師として大丈夫なのかと問いただしたくなる。
　口裂け女と児童虐待の関連付け、そしてこの怪物の不死性に着目した点はいい。また裂けた唇をマスクで覆い隠し、巨大な鋏を持ち、金色の目をした口裂け女のビジュアルが与える迫力はなかなかのものだった。口元を除けば、美形である点がさらに怖い。そしてクライマックスの攻防の迫力もなかなかのもの。
　ホラー映画でモンスターがうまくできているのだから、この映画、知名度は低くてもいいから、もう少し演技力のある男優女優子役を集めて撮影するべきだった。
　ラストはやるだろうな、ということをやって締めた。