日曜哲学クラブ/アレグザンダー・マコール・スミス
- 作者: アレグザンダー・マコール・スミス,柳沢由実子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2009/08/20
- メディア: 文庫
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コージー・ミステリを立て続けに読んでいると、当方の頭の弱さのせいか、「これって誰が書いた、どんなシリーズだったかな」などと混乱することがある。だが、アレグザンダー・マコール・スミスの書くものに限ってはそれはない。
彼女の小説にあるのは、真の個性である。ボツワナ(!)の女性私立探偵、マ・ラモツエのシリーズも大層愉快なお話だが、こちらもまた痛快。こちらの舞台はスコットランド、探偵役を務めるのは女性哲学者である。結成以来一度も開かれたことのない日曜哲学クラブというグループの主催者だ。
日曜哲学クラブというタイトル、もしくはグループ名にふさわしく、彼女は実に様々な物事を思索する。劇場の天井から若い男が墜死した。この非日常の事件をもちろん思索し、調査する。自分と親しい、若い女性の恋人の浮気現場を目撃してしまった。この日常的で、卑近な謎にも思い悩む。
緻密な謎解きを楽しむタイプのミステリではないが、知性と思いやりの両方を持つヒロインの語り口が楽しいシリーズ。一風変わったコージー・ミステリとしてお勧め。