FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

放送禁止2 ある呪われた大家族/長江俊和監督

放送禁止2 ある呪われた大家族 [DVD]

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 イアン・ソフトリー監督『スケルトン・キー』を見たとき、「ゴシックホラー映画には、まだこの手法があったのか」と思った。長江俊和監督『放送禁止2/ある呪われた大家族』を見たとき、さらに幅を広げ「ホラー映画にはまだこんな手法があったのか」と感じた。フェイクドキュメンタリーもののホラー映画をあまり見ていないくせにこんなことを語るのは笑止かもしれないが、この作品、おそらくフェイクドキュメンタリーもののホラー映画としては、屈指の出来栄えだろう。
 貧しさや不幸にも負けず、身を寄せ合って生きる大家族。いかにもテレビ局が好んで取り上げそうな題材だ。
 浦家。三男四女、つまりは七人きょうだいの大家族。彼らはいつも朝は一緒にラジオ体操をし、朝御飯をともにする仲良し一家だ。大工の敬一郎は怪我のために働けず、母の司がパートで生計を支えている。決して豊かではないが、彼らの絆は固い……はずだった。
 だが、この浦家に不穏な出来事が次々と起こっている。まずは敬一郎の怪我。そして年少の子供の溺死。そして家族の幼い子供達が次々と不自然な傷を負う。実はこの浦家には、以前から奇妙な鳥居の写真がしきりに送られており、司は一家の不幸をこの写真の呪いではないかと考えるようになっていた。
 正直に言えば、謎解きの難易度はさして高くない(なにせ画面に、ばっちりとある文章群が映っているし)。当方は最初からネタを知っていて見たのだが、まったく予備知識のない人でも、なにを匂わせたいのかは分かるはず。
 しかし、それを抜いたとしてもこの回はおぞましく、その上に面白かった。この嫌な空気は、ちょっと比類がない。画面に出てくることも、出てこないことも、十分に怖い。
 久し振りにこの言葉を使う。大傑作。ラストのあの明るさ、無茶苦茶怖かった。続編の映画が作られたと知り、驚く。どんな内容にしたんだ。

スケルトン・キー [DVD]

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↑くどいほど薦めているが、いい映画。