女優霊/中田秀夫監督
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ジョン・カーペンター監督『世界の終わり』と同様、「呪われた映画」の映画である。
若い映画監督、村井俊男は撮影に張り切っていた。戦中、東京から田舎へと疎開した二人の姉妹と、脱走兵との物語。これが彼のデビュー作となる。だがラッシュフィルムを関係者一同で見たとき、妙な出来事が起こった。ラッシュフィルムの中に、もう一本別の映画が紛れ込んでいる。どうやら未現像のフイルムの上から、新しく映画を撮影してしまったらしい。逃げ惑う男児、異様な雰囲気の笑う女……それは調べてみたところ、人死にが出て、製作中止となったはずの映画だった。だが、なぜか村井にはその一連の映像に見覚えがあった。理由は分からない。やがて撮影所には様々な怪奇現象に襲われる。やがて人が無残に死ぬ。
鮮血が吹き飛んだり、幾度となく絶叫が上がったり、という派手さはなく、現在の日本のホラー映画と照らし合わせてみても、大人しい感じの映画である。(ジョン・カーペンター監督『世界の終わり』と正反対)。古風で、静謐で、叙情的で、そこがいい。
この作品、ストーリーが展開していくうちに明かされる「映画の中の映画」のあらすじ、村井俊男が撮影しているものも、製作中止となっている方も、どちらも背筋がひんやりとするものでなおよし。『女優霊』の終盤になってから村井達一同が撮影している、「二人の姉妹と、脱走兵との物語」のあのクライマックスには結構びっくりした。こんな話だったのか。
仮にこの一件がこのまま収束するとしても、この撮影所がある限り、いや世界に映画を撮りたいと志すものいる限り……という嫌な余韻を残したエンディングもナイス。
まず紛れもなく日本ホラー映画史に残る秀作である。こういう幽霊映画は大好きだ。
こちらの方が古いのだが、清水崇監督『呪怨』を最近見たせいか、「柳ユーレイが相変わらずえらい目に遭っているな」という印象がある。
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