「五つの鐘と貝殻骨」亭の奇縁/マーサ・グライムズ
「五つの鐘と貝殻骨」亭の奇縁 (文春文庫―警視リチャード・ジュリー)
- 作者: マーサグライムズ,マーサ・グライムズ,吉野美恵子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1991/03
- メディア: 文庫
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リチャード・ジュリーもののシリーズの邦訳の八冊目。順不同で読んでいるのだが、最初の数冊を手に取ったときは「特別面白い」とは思わなかった。だが『鎮痛磁気ネックレス」亭の明察』とこの『「五つの鐘と貝殻骨」亭の奇縁』はいい。
名探偵の休暇は休暇にならぬ。古今東西の名探偵に襲いかかる忌まわしい慣習が、ロンドン警視庁警視リチャード・ジュリーの上にも降りかかった。ときは五月、田舎の村へと友人メルローズ・プラント(この人もレギュラーキャラクターで、元貴族であり、リチャードの相方的存在)を訪ねた彼は、アンティークの書記机に押し込められた死体を発見することとなる。土地の名家の子女の夫で、芳しからぬ品行で知られた男だ。やがて同時期に港町で身元不明の女性の死体が発見される。
真相が明かされる部分で、もう少し説明がすっきりしていたら完璧だ。きちんと本格ミステリしている。核となる女性も魅惑的に描かれている。なかなか良かった。