「鎮痛磁気ネックレス」亭の明察/マーサ・グライムズ
- 作者: マーサグライムズ,マーサ・グライムズ,吉野美恵子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1986/12
- メディア: 文庫
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リチャード・ジュリーものの邦訳、第三作目。この巻の最初で、ジュリーは警視に昇進する。
初期は、結構本格ミステリしているじゃありませんか。シリーズの中盤以降に発表された作品は、殺人など犯罪は出てくるものの、ミステリというよりも、物語として楽しんだ方が適切な巻もままあるため、余計にそう感じた。
リトル・バーンテンハムは、ロンドンのベットタウンであるのどかで、小さな村だ。だがこの平穏な村は、幾つかの奇禍に見舞われることとなった。まずは事実無根(だと思われる)中傷の手紙が村人達に届き、彼らの神経を逆撫でした。そして犬が、女性の指がくわえて現れ、皆を驚愕させた。ロンドン警視庁警視リチャード・ジュリーは村まで足を伸ばし、村の警官達と協力して捜査を進める。この指の持ち主、つまりは殺人事件の被害者は誰なのか。それは中傷の手紙と関わりがあるのか。若い音楽家が背後から頭を殴られ、重傷を負った事件との関係は。
訳者によるあとがきで、マーサ・グライムズの作風は、パトリシア・モイーズ『殺人ファンタスティック』と似ているとあるが、確かにモイーズの穏健さ、温かみが、このミステリにも感じられる。
これまでに読んだ、彼女の作品群(シリーズ三作目以降のリチャード・ジュリーもの)の中ではもっとも面白かった。
殺人ファンタスティック (ハヤカワ・ミステリ文庫 37-2)
- 作者: パトリシア・モイーズ,深町眞理子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1977
- メディア: 文庫
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