永遠のこどもたち/J・A・バヨナ監督
- 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
- 発売日: 2009/05/22
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心にいつまででも残る傷痕のようなものをつける映画。痛ましい話なのだが、見るものの心を強く魅了する。
孤児のラウラは、海辺の古い孤児院で育った。里親に引き取られ、壮麗な館を思わせる孤児院を後にした。数十年後、大人の女性となったラウラは夫の医師カルロスや七歳の息子シモンとともに、この建物に戻ってくる。みずからが障害もつ子供達のための孤児院の運営者となるために。
シモンは空想癖の強い少年だった。少なくとも、ラウラとカルロスにはそう見えた。トマスという見えない友人を作り、楽しげに交流している。だが孤児院のオープンを心待ちとするラウラの元に、おかしな中年の女性が訪ねてきた。ソーシャルワーカーを自称するが、どうも様子が奇妙だ。シモンが養子であることも、そしてある重い病に冒されていることも知っている。
やがて孤児院が開設される日がきた。パーティーの最中、シモンの姿が消えた。ラウラ達の必死の捜索にも関わらず、彼の姿は見つからない。やがて霊能者にさえすがるようになったラウラの姿は、周囲に狂気を感じさせるものとなっていた。
まず画面が圧倒的に美しい。海辺の館、洞窟、灯台……風景ばかりではない、フイルムや写真の上に映し出されるかつての孤児院の風景、そして孤児院の開設を祝うパーティーの日の仮面をつけた人々の不気味さよ(服装が普通だというのがいっそう怖い)
なんといってもシモン少年失踪の真相が、酷い。しかも意外性がある。「えっ、そんな解決なんだ」と驚きつつ、胸が重く苦しくなる。
古風と言えば古風だが、「ゴシックホラー映画はまだまだいける」と感じさせてくれた作品。映像は美しく、ストーリーは面白く、結末には意外性と説得力の双方があり。イアン・ソフトリー監督『スケルトン・キー』並みの傑作。壮麗な館を舞台とした、美しくもおぞましい物語は、こうして脈々と生命を保っていくのだ。
製作総指揮はギレルモ・デル・トロ。
- 出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
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