恋の香りは秋風にのって/リサ・クレイパス
- 作者: リサクレイパス,Lisa Kleypas,古川奈々子
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2006/11/10
- メディア: 文庫
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『もう一度あなたを』ほどではないが、ばっちり面白かった。頭の中にリサ・クレイパスという名前がはっきりインプットされた。
十九世紀、英国の社交界で男性からダンスに誘われないため、壁際に座って人々を眺めている四人の娘達を描いた「壁の花シリーズ」の第二作。このシリーズを読むのは初めてだ。それぞれ美しく、性格的にも魅力があるにも関わらず、四人が「壁の花」となってしまうにはそれぞれ事情があった。
リリアンとデイジーのボウマン姉妹の事情は「アメリカの新興成金の娘達で、欧州の社交界のマナーにまるで通じていないから」だった。二人の父親は、ニューヨークで石鹸を扱っている大会社の経営者だ。事業を拡大し、イギリスにも進出するつもりでいる。二人の母親は、成り上がりの家系に箔をつけ、欧米の社交界で幅を利かせるため、どれほど貧乏でもいいから、娘達には欧州の貴族と結婚して欲しいと願っている。ウェストクリフ伯爵の広大な屋敷で数週間に渡って催されるパーティーは、娘達に高貴な血筋の夫を見つける絶好の機会だと母には感じられたが、姉妹は一向に乗り気ではなかった。
『もう一度あなたを』で良きお兄ちゃんぶりを発揮していたウェストクリス伯爵ことマーカス・マースデンがヒーロー。妹二人は幸福に暮らしているようだ。伯爵家の後継者としてひどく厳格に育てられてきたマーカスは政治的にはリベラルで、性格的には清廉潔白でやや堅物。アメリカ出身のリリアンは自由奔放。正反対の二人は惹かれ合い、うまくいきそうになるのだが、マーカスの母親は、マーカスの妹二人がアメリカ人と結婚したこともあり、イギリス貴族の血統を守るため、マーカスとリリアンの関係に猛反対していた。終盤でとんでもない事件が発生。これは驚いた。『もう一度あなたを』と合わせて読むと、より怖い。
優れたエンターテイメント作品。
- 作者: リサクレイパス,Lisa Kleypas,平林祥
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2006/12/10
- メディア: 文庫
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