FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

「老いぼれ腰抜け」亭の純情/マーサ・グライムズ

「老いぼれ腰抜け」亭の純情 (文春文庫)

「老いぼれ腰抜け」亭の純情 (文春文庫)

 リチャード・ジュリー警視シリーズの邦訳、第十一作目である。ジュリー警視の悲恋が書かれる。
 ジュリーはジェーン・ホルズワースという名前の美貌の未亡人と市場で知り合い、恋に落ちた。彼女の夫はイギリス北部の湖水地方の富豪の一族の一人で、前夫の間にはアレックスという幼い息子がいる。二人の関係は深まり、やがてジュリーは結婚を考えるようになった。その矢先、ジュリアは生命を失う。自殺か、殺人か。どうやら謎はジェーンの亡き夫の実家であるホルズワース家に関わりがあるようだ。
 大きな屋敷と高級老人ホームとが主な舞台で、ともに健気なジュニア&シニアが活躍する。推理によって犯人を当てろと言われれば酷だが、お話として面白い。序盤にだけ、シリーズ読者でないとよく分らないエピソードがある。