ゴーストアビー/ロバート・ウェストール
- 作者: ロバートウェストール,Robert Westall,金原瑞人
- 出版社/メーカー: あかね書房
- 発売日: 2009/03/01
- メディア: 単行本
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児童文学のジャンルでも、秀作『かかし』を初めとして恐怖描写にはまったく手を抜かないロバート・ウェストール。そんな彼が幽霊屋敷ものを書いたと知り、わくわくとした。大きな邸宅を舞台にした怖いお話が大好物だ。
だから、楽しみにしていたのに。
生ぬるい。
児童向けを過剰に意識したのか、生ぬるい。
十二歳の少女マギーはままならぬ日常に苦しんでいた。母が死んだあと、父ジョージは無気力となった。建築士だったが仕事をしなくなり、家庭にも目を向けなくなり、双子の弟の世話を含めて家事はほとんどすべてがマギーの背に覆いかぶさってきた。むろんまだ幼い彼女には重荷だった。
そんなとき、ジョージに舞い込んできた仕事は、マギーからしても魅惑的に感じられた。かつては修道院だった邸宅に住み込み、この屋敷を修復する。現在の息苦しい生活から逃れることができる、なによりジョージに生きる張り合いが出てきたことを見て取り、マギーは嬉しかった。
だが、この館はただの古く、壮麗な館ではなかった。なにかがいる。この館にはなにかがいる。
おそろしく魅惑的なあらすじだが、期待値が高すぎたためか、ありふれた幽霊屋敷小説に終わっている。そもそも幽霊の使い方がさしてうまくない(出したところであの幽霊、あんまり意味がなかったような)
館の魔性というよりも、ジョージを中心とした人間関係の方がスリリングだった。