FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

死者と影/ポーラ・ゴズリング

死者と影 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

死者と影 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

 「ブラックウォーター・ベイ・ミステリ」の第四作目。現代のコージー・ミステリのお手本たりえるシリーズだ。
 五大湖に臨むリゾートタウン、ブラックウォーター・ベイ。景色のよいリゾート地である小さなこの町は、時折異様な殺人事件が起きることでマスコミにも目をつけられていた(こういったところが現実的でいい。同じ小さな町で繰り返し殺人事件が起きたのなら、そこは珍奇な土地として知られることだろう)
 町にひそかに伝わる殺人鬼シャドーマン。彼が蘇ったかのような殺人事件が起き、森の郊外で若い女性が生命を失った。ほどなくして理学療法士ローラは現場にほど近い、彼女の実の叔父が経営するマウントビュー病院へと職場を移した。周囲の人間には言わなかったが、殺人事件の被害者となった女性は、ローラの親友だったのだ。
 友を殺した犯人を追うため、独自の調査を行うローラ。元刑事にして、現在は入院患者のトム・ギリアムがへらず口をたたきながらも手助けをしてくれる。ありがたく思いつつ、ローラには周囲の全員の人間があやしく見えた。
 スリル&ロマンス&犯人当ての三つがすべてある良き作品。これ一作でもそこそこ面白いが、シリーズを通して読むと……ヒロインは毎回変わるのだが……ブラックウォーター・ベイへの愛着が深まっていい。