笑の大学/星護監督
- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2005/05/27
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唯一にして最大の欠点は121分という長さ。この密室劇、せめて十五分ほど短ければ、傑作だったのではないだろうか。
主要キャストは二人だけ。役所広司演じる検閲官の向坂と、稲垣吾郎演じる座付き作家の椿。舞台はひどく限定されており、ほぼ一つの部屋のみである。時折回想シーンや登場人物の空想シーンとして劇場が出てくることもあるが、それでも二人の男はこの一室をほとんど動かない。
検閲官……そう時代は表現の自由を許さない狭量さを見せるようになっていた。標的となったものの一つは、大衆演劇だ。彼ら座付き作家は一人一人検閲官の前へと呼び出され、国家にとって都合の悪い箇所を削除してようやく許可をいただくか、もしくは完全不許可の印をいただくのみ。
「笑の大学」の座付き作家、根からの喜劇作家たる椿は、生まれたときから笑いを知らぬ向坂にしきりに無理難題を出され、書き直しを強要され、話は最初のものからずいぶんと違う方向へと流されていく。だが向坂の要求を潜り抜ける都度、椿の喜劇は磨き上げられていき、笑いを知らぬ男、向坂は椿の生み出す喜劇の虜とれさるのだ。やがて二人は互いに敬意と友情を持つようになる。
二人の衣装はとても第二次世界大戦当時のものとは思えないが、それも狙ってのことだろう。チャーチルとヒットラーが寿司を握る場面では地味に笑った。
原作、脚本は三谷幸喜。