FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

野鳥の会、死体の怪/ドナ・アンドリュース

野鳥の会、死体の怪 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

野鳥の会、死体の怪 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 女性が主人公のミステリで一番むかつく展開の一つは、ヒロインが無防備に敵(ミステリなら真犯人)の元へと乗り込み、生命の危機にさらされたところを、ヒーローによって救われるというものである。あれははヒーローの格好よさを強調するというより、ヒロインの阿呆さを読者に知らしめているように思われてならない。
 この「メグの鳥シリーズ」では、決してそんなクライマックスにはならない。なぜならヒロインのメグも、その恋人のマイクルも同じぐらいのお馬鹿さんで、二人とも無防備に犯人の元へと乗り込んであっさりと捕まり、その二人の危機をメグが知力と行動力をもって脱するというパターンが多いからである。頼むから、最初から捕まるなメグ&マイクル。乗り込む前にどちらがどちらかを止めておけ。
 鍛冶職人のメグは俳優の恋人マイクルとの静かな休暇を楽しむため、野鳥の島へと向かった。しかし島は少しも静かなどではなかった。嵐で島は大荒れ、ほうほうの体で家へと向かったところ、そこにはメグの両親と弟が揃っていた。
 さらには島のトラブルメーカーの画家が殺され、嫌疑はメグの父(ミステリ大好きのお医者さん)へとかかる。なぜなら、その画家はメグの母親のかつてのボーイフレンドだったから。
 「メグの鳥シリーズ」の第二作で、やっぱりノリノリ(死語だな)のコージー・ミステリである。バード・ウォッチャー連の変人度がもう少し高ければ言うことはなにもなかった。