FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

13羽の怒れるフラミンゴ/ドナ・アンドリュース

13羽の怒れるフラミンゴ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

13羽の怒れるフラミンゴ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 様々なコージー・ミステリを読み比べたとき、ある共通的に驚くことがある。それはユーモア度の高いコージー・ミステリの場合、ヒロインとごく親しい年長者の女性、母だとか叔母だとか祖母だとかは、父だとか叔父だとか祖父だとかいう男性陣に比べ、強烈な個性の持ち主で、総じて気弱とは言えぬヒロイン達でさえたじろぎ、鼻面を掴んで引き回される羽目に陥ることしばしということである。そればかりではなくキャロリン・G・ハートのアニー&マックスシリーズのように、彼氏の母親が途方もなく浮世離れした変人という例もある。
 だが「メグの鳥シリーズ」のメグの場合は大変だ。母親のマーガレットがこの上なくゴージャスな貴族的美女であるだけでなく、彼氏のマイケルの母親ミセス・ウォーターソンもまた貴族的尊大性の持ち主だったのである。
 マイケルとともに、故郷のお祭りに参加することなった鍛冶職人メグ。そのお祭りとは参加者皆が独立戦争当時の衣装が着込み、当時の雰囲気を再現しようというものである。実行委員長は、ミセス・ウォーターソン。凝り性なおかつ仕切り屋の彼女によって参加者達は切り切り舞いさせられる。彼女の要求に合わせるだけでも必死なのに、弟の作っているゲームのデータが収められたCD−ROM(『地獄から来た弁護士』だ)を狙う何者かがいるらしい。
 「メグの鳥シリーズ」の第三作目。つくづくメグの親戚連には変な人間しかいないと思わせてくれる作品だ。このままマイクルと結婚すれば、おかしな姻戚も増えることだろう。
 巻末に坂田靖子のイラスト&文章あり。コージー・ミステリばかりではなく、彼女のファンにもお奨め。