聖女の救済/東野圭吾
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/10/23
- メディア: 単行本
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今回もそこそこ面白かった。
我が子を胸に抱くことを夢見るあまり、パートナーに対して不誠実極まりない行為を繰り返してきた男が殺された。容疑者の一人はその男の愛人、もう一人は離婚が決まった妻。社長は毒殺されていた。だが毒は。いつ、いかなる方法で社長に盛られたのか。事件を担当する刑事、草薙は容疑者の一人たる綾音に憧れを抱く。綾音は美しく、完璧な良妻タイプだった。
ある一人の人間の完全犯罪を暴くまでのミステリである。シンプルなトリック、そのシンプルなトリックに至るまでの自然なストーリーの流れ、丁寧な文体、被害者と加害者、双方が抱くおぞましいほどの情念、どれもグー。「聖女の救済」なるタイトルは、この犯人像とこの人間が使用した毒殺方法を考え合わせると、おぞましいほど皮肉なタイトルである。
同時刊行された短編集『ガリレオの苦悩』の評判もいいので、こちらも購入してみようかと思う。