あの日、少女たちは赤ん坊を殺した/ローラ・リップマン
あの日、少女たちは赤ん坊を殺した (ハヤカワ・ミステリ文庫)
- 作者: ローラリップマン,Laura Lippman,吉澤康子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2005/10
- メディア: 文庫
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当方にとってローラ・リップマンは私立探偵テス・モナハンシリーズの作者だった。そして当方、このテス・モナハンシリーズが少々苦手だった。この『あの日、少女たちは赤ん坊を殺した』を手に取ったのも偶然だった。
しかし、滅茶苦茶面白かった。正直びっくりした。十一歳の少女、アリスとロニーは置き去りの赤ん坊(そう見えた)をさらい、世話をしようとした。しかし事態は最悪の結末を迎えた。赤ん坊は死に、少女達は逮捕されたのだ。七年後、少女達は施設から出て、それぞれの生活へと戻った。ところがまた赤ん坊が連れ去られる事件が起きる。
このどうしようもない重苦しい物語に読者がひきつけられ、思わずページをめくってしまうのは、巧みに隠された謎のためだ。はっきりと書かれていない七年前の事件の真相はなんだったんだ。そして少女達の出所後、再び起きた誘拐事件の犯人は誰で、動機はなんなんだ。
思わず膝を叩いたのは二度目の誘拐事件の犯人と、その理由。びっくりした。納得した。そして腹が立った。犯人その人より、その犯行を引き起こす動機となった人間に。
痛ましい物語にして、傑作ミステリ。「謎とその解決」には、本格ミステリファンも喜ぶのではないだろうか。
テス・モナハンシリーズも今読めば感想が違うかも。チャレンジしてみよう。