FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

13番目の物語/ダイアン・セッターフィールド

13番目の物語 上

13番目の物語 上

 あらすじだけ読むと大変好みなのだが、実際に読んでみると「…………」という感想しか出てこない小説もある。この『13番目の物語』が当方にとってみればそうだった。いくらかわざとらしいまでのゴシック小説らしさ、その小道具の集めぶりが、かえって気を萎えさせるのかもしれない。
 己の素性について虚構ばかり並び立てるベストセラー作家ヴァイダ。彼女の伝記係として選ばれたのは、古書店を生家とするマーガレットだった。ヴァイダはマーガレットに語る。ある一家、奇矯な人間ばかりが集い、数奇な運命を辿ったある一族の歴史と、そこに隠された謎を。
 ページ数が多いわりには、そして波乱万丈の筋立てを語っているわりには、どうも平淡な印象を受ける。一人称を司るヒロインの性格の静けさ、穏やかさが、好感よりも物足りなさを生んだようだ。
 読んでも読んでも一向に面白くならなかった。これは期待外れの作品だった。

13番目の物語 下

13番目の物語 下