夜ふかし屋敷のしのび足／コニス・リトル

夜ふかし屋敷のしのび足 (創元推理文庫)

　二時間ドラマの惹句風に言えば、
　「偽メイドは見た……！富豪一家を襲う謎の獣の影。連続殺人事件の嵐に、御曹司と偽メイドの愛の行方は」
という喜劇ミステリである（どんなだ）
　「離婚調停中の旦那アラン・バートンの手に、他の男性宛てのラブレターが渡っちゃった。ロードスターをあげるから取り戻してよ」と軽薄な友達に言われ、これまた軽薄なお嬢様であるヒロイン、カリー（偽名エレン・マクタビシュ）がオーケーを出し、バートン家にメイドとして忍び込むというストーリーである。そして連続殺人が起き、メイドとしても探偵としても頼りのないことこの上ないカリーがあっちこっちで騒ぎを起しながら、時には他人の起した騒ぎに巻き込まれながら、謎の解明と、アランとの恋愛の成就を目指す。
　謎解きとしては大したことはないので、この特有のノリに乗れるかどうかか「面白い」と感じる境目のはず。当方としては『記憶をなくして汽車の旅』の方が面白かった。

記憶をなくして汽車の旅 (創元推理文庫)