FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

ディアブロ 悪魔生誕/リチャード・シーザー監督

ディアブロ 悪魔生誕 [DVD]

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 B級ホラー映画の傑作。
 瀕死の女性が、神父に語る。アメリカ人女性クリスティはテレビ局に勤めるマークと結婚、イギリスのマン島へと渡った。一人息子ディランにも恵まれ、夫は出世し、言うことのない日々だった。ただ知人の幼い息子が誘拐、惨殺されたことと、なにかと夫や息子に近付こうとするエリザベス(息子を惨殺された母親だ)の存在がクリスティの心へ影を落としていた。
 やがて聡明な息子ディランをしきりにテレビへと引っ張り出そうとする夫やエリザベスの行為が、クリスティに疑惑を与えた。息子は恐ろしい存在で、夫達はなにかを企んでいるのではないだろうか。いや、それとも皆が言うよう、狂っているのは私の方なのだろうか。
 『ローズマリーの赤ちゃん』や『オーメン』は確かに想像させる(と言っても、『オーメン』は見ていないので大きなことは言えないのだが)のだが、それらの系譜を受け継ぎつつ、立派にオリジナリティを打ち出し、一つの創造物として完成させている。
 とてもつなく奇妙な言い方かもしれないが、B級ホラー映画の正統派の傑作だ。扱っているテーマと風景の美しさから来る陰性の威厳と、「とにかく怖ければ怖いほどいいのさ。怪しい人影と血のりをどんどんとサービス!」というチープさの、双方を持ち合わせる。実際に撮影したのはどこかは分からないが、物語の舞台を英国の島に選んだのも雰囲気が出ており、良き選択だと感じられる。
 ただ動物好きにはややつらい場面もあり。