FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

密林の骨/アーロン・エルキンズ

密林の骨 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

密林の骨 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 スケルトン探偵ギデオン・オリヴァーシリーズ、第十三作目である。ある水準は保っていたものの、どうもマンネリズムに陥っており、「どれ読んでも似たようなものだなあ」という印象を受けていたこのシリーズだが、それなりに面白かった。アマゾン河を舞台に、厳しい自然との戦いや麻薬の密輸を絡め、冒険小説風に仕立てているのがうまく出たようだ。ただ肝心要の「骨」が出てくるのは物語の終盤になってからである。スケルトン探偵の名が泣くぞ、ギデオン。
 ギデオンは旧友たる旅行会社添乗員たるフィルや、FBI特別捜査官ジョンとともに、アマゾン河を行く格安ツアーに参加した。その他の参加者は、民族植物学者御一行。この植物民族学者がどうにもうさんくさい。船長もガイドも同じぐらいうさんくさい。さらに敵は過酷な暑さばかりではなかった。当の民族植物学は、現地の人々と過去に悶着を起こしていたのだ。
 本格ミステリとしての「謎と解決」は正直に言って付け足しだが、ぼろぼろの船でのアマゾン河の旅(それ自体がすでに冒険)から来るサスペンスが補っている。そこそこ面白い。