FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

十三の呪 /三津田信三

十三の呪 死相学探偵1 (角川ホラー文庫)

十三の呪 死相学探偵1 (角川ホラー文庫)

 美女に乞われ、忌わしく、不思議な出来事が続く富豪の家に、探偵が乗り込む。そして颯爽と解決する。けれど作者が作者だけに「ホラーで落とすの、ミステリで落とすの?」と読む前は首を傾げていた。答えは、ホラー(ばらしてごめん)。ただし怪事件に潜むルールを死相学探偵、弦矢俊一郎が見抜き、解決へと持ち込むらしい。小野不由美のゴースト・ハントシリーズを連想させられる。ちなみにジョン・サイレンス博士や幽霊狩人カーナッキの名前を出すべきいれないが、彼らが活躍する著作は十年ほど前に読んだきりで内容を詳細に覚えていないので、上げられない。
 二十歳の青年、祖母の血を引くゆえか弦矢は幼い頃から他人の死の影を見て取ることができた。そのせいで、余人には察することの出来ぬ苦悩を負いもしてきた。長じると彼は上京、その異能を活かして探偵事務所を開設した。最初に依頼人は婚約者を失ったばかりの美女。彼女の婚約者の家庭で、様々な不可解な事件が勃発しているという。
 事件に潜む「ルール」は、正直に言って脱力ものだが、総括してなかなか面白かった。ダミー解決にもうっかりひっかかりそうになった。二十歳の若さを微塵も感じさせない青年と、やはり不思議な力持つ祖母とのやり取りがいい。副題からしてシリーズもののようだが、次の作品も買う。