FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

悪魔を憐れむ歌/グレゴリー・ホブリット監督

 ミステリだよ、ホラー映画だと思っていたのにミステリだよ。
 ホブスは、何人もの犯罪者を逮捕し死刑台へと送ってきた名刑事。ある日、彼は連続殺人犯人を逮捕し、死刑台へと送る。彼はなぜかホブズに執着しており、死後も彼を苦しめると明言していた。だが死刑はつつがなく執行される。
 やがてホブズは悩み始める。死んだはずの殺人鬼が蘇ったとしか思えぬ、同じ手口の連続殺人が発生したからだ。やがて彼は知る。人智を超えた、ある大いなる悪の存在を。人間から人間へと乗り移る「それ」は、ホブズを苦しめ破滅させるため、彼の目の前へと現れるのだ。
 相手こそ人間ではないものの、天才的な犯罪者と名探偵の対決を描いたミステリ映画を見ているような気分だ。刑事が「それ」を滅ぼすのために取った「解決策」も見事、ちゃんと伏線が張られている。ここまで来て、最初の場面を思い出し、「ああ」と膝を打つ。オチも、「人っ子一人いない大自然の中で」と言われた瞬間、「こう来るだろうな」と思ったものそのものだが、やはり面白かった。
 傑作。ホラー映画ファンというより、むしろミステリ映画ファンが見て楽しめそうだ。