論理は右手に/フレッド・ヴァルガス
- 作者: フレッドヴァルガス,Fred Vargas,藤田真利子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2008/04/01
- メディア: 文庫
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『死者を起こせ』はとても面白かったのだが、今回はいまいち。謎解きの要素がどうも薄く、本格ミステリというよりサスペンスのようだ。
「ドイツ人」というニックネームを持つ元内務省調査員ケルヴェレールはパリの街路樹の根元から意外なものを発見する。犬の糞。それは珍しくない。しかし犬の糞から出てきた人骨には仰天させられた。彼は謎を解くため、嫌な野郎であるかつての同僚に一泡吹かせるため、調査をを開始する。お供は失業中の若き歴史学者、聖マルコことマルクや聖マタイことマティアス。彼らはブルターニュに向かう。
三聖人シリーズとあるが、主役はケルヴェレール、しかも三聖人のうち、聖ルカことリュシアンはほとんど出てこない。彼のファンはがっかりしたことだろう。しかし二聖人にしては語呂が悪いのも確かだ。
ケルヴェレールはよきキャラクターだが、肝心のミステリとしての出来がいまひとつ。行き当たりばったりという印象が拭えない。次はまたパリに舞台が戻るというのでそれに期待。