一週間のしごと/永嶋恵美
- 作者: 永嶋恵美
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2005/11/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 1人 クリック: 3回
- この商品を含むブログ (43件) を見る
創作物の中で、当方がもっとも嫌いな人間は、身勝手な理由で動き、他人を巻き込んで被害を拡大させていく(代表例 ハムレット)である。「近頃、小説の中でそういう奴に会わないなあ。偶然かもしれないけれど、心地よいことだなあ」などと考えていたら、超弩級の奴が出てきた。菜加。この永嶋恵美『一週間のしごと』のヒロインである。彼女は小さな子供を拾ってきて、その母親がなにかの事件に巻き込まれたと知っても「警察が嫌い」という理由で届け出ず、みずから調査に乗り出す。弟の克己や幼馴染みの恭平を巻き込んで。
はい、今年度読んだ中でのワーストワン登場人物、この娘に決定。正義感の強い猪突猛進型と言えば聞こえはいいが、この娘は他人を危機にさらしすぎである。警察にトラウマがあるのは分かるが、他人の事情をもう少し考えてもいいはず。
ストーリーテリングはそこまで悪くないが、いいとも言えない。悪玉の正体がばればれのせいだ。
「東京創元社 ミステリフロンティア」には当たり外れが多いが、これは主にヒロインの造形のせいで外れだった。