レオナルドの沈黙/飛鳥部勝則
- 作者: 飛鳥部勝則
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2004/08/28
- メディア: 単行本
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うん、それは不可能だわ。
思わずそんな突っ込みを入れた読者も多いことだろう。
降霊会で妖しい霊媒が殺人予告を告げると、その通りにある男が死んだ……という、ディクスン・カーを思わせる、極めて古風な雰囲気に包まれた本格ミステリである。私は飛鳥部勝則の良き読者ではないのだが、エキセントリックな作風の彼にしては珍しい舞台設定なのではないだろうか。
死体が二つ転がり、ワトスンが手記を書き、作者は読者へと挑戦状を送り、名探偵が事件を解決する。「終章」で読者は腰を砕けるような真実を知ることとなるのだが、これを受け入れるか否かによって、そのもの『レオナルドの沈黙』への評価の分かれ目となるだろう。当方はずっこけつつも受け入れた。フェアなことはフェアだ。作中で「良き偶然、悪き偶然」に触れる会話があるのだが、この偶然は……(以下ネタバレのために略)
総じてなかなか面白かった。