堕天使拷問刑/飛鳥部勝則
- 作者: 飛鳥部勝則,PARADISE D
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/01/25
- メディア: 単行本
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『誰のための綾織』で色々あった飛鳥部勝則の最新刊である。ネット上での評判がいいので手にとってみた。
タイトルから咄嗟に連想したのはジョン・カーペンターの某ホラー映画だった。この『堕天使拷問刑』は本格ミステリではあるけれど、散りばめられている悪魔学や天使学の知識を始めとし、ホラー小説の雰囲気を漂わせている。不気味な生物が山のように出てくるので、モンスター好きにはいいかもしれない。
両親を事故で失い、母方の実家に引き取られた中学一年生の少年タクマ。「絶対にこいつ年齢詐称してるよ」と思いたくなるほど大人びた彼は、新しい学校や家庭に慣れることができないまま、オカルト研究会に入って友人を作り、そして二人の美しい少女と出会う。過去の、そして現在の斬首による殺人事件に巻き込まれていく。
特殊な血筋ゆえ白眼視され、時には迫害されるというパターンはありふれたものだが、途中の展開はなかなか怖かった。また犯人も怖い……性格はむろんのこと、その殺害方法はかなり怖かった。最後に明かされる「女三人の斬首事件」と「祖父の怪死」のトリックは馬鹿馬鹿しいほど大胆だが、それでも楽しめた。
だがもっとも不思議だった点は、舞台になっている土地は大変な田舎という設定なのに、美少女、美少年(主人公もその友人もだ)、美女、美男がやたらに出てくる。ひょっとして「この土地は美形の名産地なの?」と思わず首をひねりたくなるほどだった。