奇談蒐集家/太田忠司
- 作者: 太田忠司
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2008/01
- メディア: 単行本
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【求む奇談!】
自分が体験した不可思議な話を話してくれた方に高額報酬進呈。
※ただし審査あり
この広告、大金を出してでも不可思議な話を求めるという不可思議な広告に導かれ、人々は英国風パブ「strawberryhill」の戸を開ける。彼もしくは彼女を待つのは、広告を出したちょび髭ででっぷりした男の恵美酒と、その助手で性別不詳の美形、氷坂。
自分の影にひたすら怯える男や、古道具の中から抜け出してきた女に恋をした男、若かりし頃に出会った魔術師を回想するシャンソン歌手、やはり幼き頃に出会った魔人を語る男、そして少女時代に迷い込んだ館のことを話す女や、謎めいた体験をした小学生。彼らは語ることで、自分が出くわした出来事の真実を知るのだ。
怪奇幻想的な雰囲気と、ミステリとしての解決を持つ短編が集められている。どちらかと言えばミステリとしての精巧さよりも、ノスタルジックなムードを醸しだすことに重きが置かれているが、過去の事件が現在にもぞっとするような影響を与えている「水色の魔人」には迫力があり、やはり美しさと忌まわしさを併せ持つ「冬薔薇の館」も面白い。
最後のまとめもありふれてはいるが、やはりうまい。