FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

悪夢の惨劇/アンドリュー・フレミング監督

 これは見る前の期待値が高すぎたかもしれない。
 新興宗教団体の教祖ハリスが決めた集団自決。共同生活を送っていた若者の全員がハリスの決定に従い、丘の上の美しい屋敷は炎に包まれた。消防士たちの消火と救出活動で、たった一人の生存者が見つかる。少女シンシアだ。
 そののちシンシアは病院に担ぎ込まれ、十年間以上のときが経過したのち、目を覚ます。しかし事件のときのことを含め、記憶をなにもかも失っていた。精神科で他の患者とともに、療養生活を送るものの、ハリスが、かつては端正だった容姿を焼け爛れさせたハリスが、シンシアを死の世界へと招こうとする。そしてシンシアの周囲の患者が次々と殺されていく。
 美しい屋敷が炎に呑まれ信者の生命が次々と失われていく、こういった過去の凄惨な場面はなかなかのもので魅力と迫力の双方を感じさせるのだが、現代のパート、つまりシンシアが目覚めてからは「ハリーが現れ、シンシアに自殺を勧める」、「シンシアの周囲の患者が惨殺されていく」の繰り返しで、いささか単調だった。
 良くも悪くも特筆することのない、B級ホラームービーだった。