霊 リョン/キム・テギョン監督
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水と濡れた女性の黒髪、そして貞子や伽椰子を思わせる女性の亡霊の造形、日本のホラー映画を連想させる箇所がところどころあるが、物語は面白く、亡霊が出現するタイミング、間の取り方、音声など、恐怖の演出場面もいい。
そしてあの「二段構えのオチ」にも、なかなかぞっとさせられる。
女子大生ジウォンはある時期から、自分の記憶をすべて失っている。父亡きあと、母親は異常にジウォンに依存、干渉するようになっており、それも悩みの種だった。唯一の頼みでありボーイフレンドのジュノは、二年間の兵役から復学したところで、ジウォンの過去については知らない。
ジウォンの脳裏に断片的に蘇り、彼女を苦しませるのは、幼い頃に誰かと遊んでいた記憶と、そして誰かが溺れる記憶だ。ジウォン自身は水泳が達者なのに。
あるとき、ジウォンはおぞましい事実を知る。彼女はまったく覚えていない、高校生時代の友人達が、まったく水のない場所で次々溺死を遂げているというのだ。やがてジウォン自身も怪現象に悩まされる。謎を解く鍵は失った記憶にあると考えたジウォンは、ジュノの力を借り、自分の過去を探り始める。
ミステリ映画のファンにも勧められる作品。秀作。