FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

死霊館/ジェームズ・ワン監督

 『インシディアス』(http://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/20120201)を見たときは、「才能の下り坂がもう始まったのか……」などと考えて申し訳なかった、ジェームズ・ワン監督。
 めちゃくちゃ怖かった。めちゃくちゃ面白かった。映画館にホラー映画を見に行って、小さな悲鳴を上げたのは、これが初めてだ。
 よく考えれば『インシディアス』同様、「幽霊屋敷」風に始まるホラー映画なのに、仕上がりのレベルがまったく異なっている。
 この『死霊館』、『インシディアス』がそうだったように、目新しいところはまったくない。「実話をもとにしている」という設定、憑かれた家、家やかつての住人達の持つ負の歴史、地下室、不気味な人形、謎の音、あるはずのない人影、やってくる霊媒、そして邪悪なものから送られる恐怖の幻影などと言った、すでに手垢のついた題材を、これでもか、これでもか、これでもか、これでもか、これでもか、ととにかく直球に打ち込んでくる作品である。
 一九七一年、アメリカはロード・アイランド州。両親と五人の娘が引っ越してきた新しい家は、忌まわしい歴史のある家だった。やがて厄災が家族を襲い、心霊学者のエドとロレーヌのウォーレン夫妻が家を訪れる。ロレーヌは透視能力があり、超自然的な様々な映像を見て取ることができた。
 音の使い方のうまさ(怖さ)もさることながら、あの「目隠し遊び」のシーンは、ホラー映画史上の残る名シーンではないかと思われる。
 最後の最後で、傑作『悪魔の棲む家』の元ネタになった“アミティビル事件”について、登場人物同士の会話で触れているのも洒落ている。
 傑作。かなり怖い。ちなみにアンドリュー・ダグラス監督のリメイク『悪魔の棲む家』も傑作。スチュアート・ローゼンバーグ監督のオリジナルは不勉強ながら見たことがない。

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