災いを秘めた酒/ケイト・チャールズ
- 作者: ケイトチャールズ,Kate Charles,相原真理子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1994/01
- メディア: 文庫
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ケイト・チャールズのデビュー作にして、デイヴィッド・ミドルトンブラウンとルーシー・キングズリーのシリーズ第一作。
第二作目の『死の災い』から読み始めたのだが、一作目よりよほど面白い。
小さな村、住人に飛び交う中傷の手紙、そして出る死者と言えば、アガサ・クリスティ『動く指』、そして『永久の別れのために』など英国ミステリの世界である(もっとも作者ケイト・チャールズはイギリスよりもイギリス人らしいミステリを書く、アメリカ人)
類まれなる美貌を持つ司祭ガブリエルのもとに匿名の脅迫状が届いた。聖職を退かなければ、過去の悪行をばらすという内容だ。「過去の悪行」とは、彼の同性愛嗜好に関わっていた。このことは、愛する妻はもちろん周辺には知られたくない。
かくしてガブリエルは、かつて自分が捨てた同性の恋人、事務弁護士のデイヴィッドに相談する。デイヴィッドは傷心を押し殺しつつ、ガブリエルのため調査を始める。
ガブリエルの身勝手さに苛々しつつも(「過去の悪行」も大変身勝手なものである)、緻密に描写される狭いコミュニティでの人間関係に魅了される。宗教にかんれする若々しく美しい男性と、熟年の女性が中心となった狭い、一見静かな世界では独善や嫉妬や金銭欲など、生々しい感情がうずを巻いていた。
最後の犯人の手紙にエピソード的に出てくる、ある愛にも惹かれるところがある。
傑作。
- 作者: ケイトチャールズ,Kate Charles,相原真理子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1998/10
- メディア: 文庫
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- 作者: ケイトチャールズ,Kate Charles,中村有希
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2001/04
- メディア: 文庫
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