FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

骨の刻印/サイモン・べケット

骨の刻印 (ヴィレッジブックス F ヘ 5-2)

骨の刻印 (ヴィレッジブックス F ヘ 5-2)

 途中までは秀作という印象だったが、最後のどんでん返しの連続がうまく決まったことで傑作と呼びたくなった。『法人類学者ディヴィッド・ハンター』シリーズの二作目。
 一作目と変わらず、人間関係が密接な、閉鎖的な土地を舞台にしている。今度はイギリスの最果ての孤島が舞台である。
 スコットランドの辺鄙な島ルナ。この土地で、異様とも言えるほど激しい焼け方をした死体が見つかった。しかし、どうやら島の住人ではないらしい。
 身元不明の死体を調べるため、島に渡ったディヴィッド・ハンター。しかし激しい嵐のため、文字通り島は孤島となり、しかも放火が乏しい証拠を奪っていく。やがて現場を見張っていた若い警察官が無残に生命を奪われる。
 終盤の展開が素晴らしい。嵐に揺られる小舟のように、読者はあっち、こっちと揺さぶられる。誰が犯人で、誰が正しいことを言っているのか。文字通り、最後の一ページまで気の抜けない展開が待っている。
 衝撃的なラストにのけぞった。
 しかし続編があるということは「……」なのだろう。
 続編もぜひ訳してほしい。
 傑作。

法人類学者デイヴィッド・ハンター (ヴィレッジブックス)

法人類学者デイヴィッド・ハンター (ヴィレッジブックス)