湖の記憶/クリスティーナ・シュワルツ
- 作者: クリスティーナシュワルツ,Christina Schwarz,北沢あかね
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/08
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る
当方が三度の飯よりも好きな、「追憶の殺人」及び「家族の秘密」が絡んだミステリだ。偶然だが、先月読んだ『波に消された記憶』とは、前記の二つの要素に付け加え、「水」のイメージも重なりあっている。
主人公は二人いる。なにか重要な秘密を抱えつつ、死んだ妹マチルダの娘ルースを育てるアマンダ。そして、もう一人の主人公は、自分の母の死に疑惑を抱きながらも、伯母アマンダに育てられたルース。母マチルダは、一人きりで湖で溺死したということだったが、ルースは母親と一緒に溺れた記憶があるのだ。
物語はゆっくりと、実にゆっくりと進む。そして、物語の中では幼子だったルースが、若い女性へと成長するまで時間が流れる。アマンダは、ルースが生まれる前、自分がともに暮らしていた家族のことをしきりに回想しながらも、マチルダの死の核心にはなかなか触れようとしない。
当方はこのテーマが大好きゆえ、この独特のテンポと、ひんぱんに変わる語り手(この物語はアマンダとルース、それぞれの一人称で綴られる)も受け入れられるのだが、やや入りにくい読者もいるかもしれない。
- 作者: リズリグビー,Liz Rigbey,林香織
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2007/05
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る