FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

天使のゲーム/カルロス・ルイス・サフォン

天使のゲーム〈上〉 (集英社文庫)

天使のゲーム〈上〉 (集英社文庫)

 『風の影』に続き、゛忘れられた本の墓場゛が登場するシリーズ第二作。シリーズ第二作と言っても、情けないことに『風の影』の内容をあまりよく覚えていない。しかし、『天使のゲーム』のあとがきから察して、ゴシック小説風であることに興味を覚え、購入。
 これは確かにゴシックホラーだった。小説で読んでも面白いが、映画にしてもいいものになりそうだ。流血の真紅と、闇の漆黒に彩られた、良きスパニッシュホラー映画になったことだろう。
 一九二〇年代のスペインを舞台とした、仄暗い物語だ。惨殺死体が幾つも転がり、主人公や薄幸の佳人はなにものかに運命を弄ばれ、数奇で不思議な結末へと辿り着く。ミステリとして着地するか、それ以外のジャンルのオチで着地するか、それは読んでからのお楽しみ。
 一九二〇年代のスペイン。若き作家のダビッドは、謎めいた雇い主と契約をし、旧市街の゛塔の館゛へと移り住んだ。そのときから、忌まわしい出来事が続いた。放火。連続殺人事件。この屋敷のかつての住人ディエゴもまた、不審な死を遂げている。自分を取り巻く謎、ディエゴが巻き込まれた事件を追ううち、魔手はダビッドの思い人、親友ビダルと結婚したクリスティーナにまで伸びるのだ。
 前述の通り、『風の影』の内容をあまり覚えていないので、印象でしかものを言えないのだが、『天使のゲーム』の方がずっと面白かった。秀作。

天使のゲーム〈下〉 (集英社文庫)

天使のゲーム〈下〉 (集英社文庫)