FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

法人類学者デイヴィッド・ハンター/サイモン・ベケット

法人類学者デイヴィッド・ハンター (ヴィレッジブックス)

法人類学者デイヴィッド・ハンター (ヴィレッジブックス)

 訳者によるあとがきにあるよう、死体鑑定の専門家が主役のミステリと言えば、咄嗟に思い浮かべのは当方もパトリシア・コーンウェル検屍官シリーズだ(面白く読み始めたが、あまりにも長いので、シリーズ途中で読むのを挫折した)
 もっともかのシリーズと、この作品とではだいぶ趣が違う。アメリカの都市部を舞台にしたかのシリーズと比べ、本書の舞台はイギリスの小さな村。検屍官シリーズの主役はバリバリのキャリアウーマン、ケイ・スカーペッタだが、こちらの主役はかつて法人類学者として高名だったものの、妻子の死ののちは一介の医師として小さな村に身を埋めている男性ディヴィッド・ハンターだ。
 イングランド東部の州ノーフォークに、森や河、湖沼や湿地など自然豊かで、人間関係が密接な村マナムがあった。この退屈で平穏な村で、陰惨極まりない連続女性惨殺事件が発生した。ディヴィッドの過去を知る警察は協力を求める。
 被害者は一人にとどまらず、よそもの、変わりものを排除する気風にあった村では、魔女狩りめいた「犯人探し」が行われるようになっていった。
 自然の描写が凄くリアルで素晴らしい。
 そして腐乱した死体の様子と、死体にたかる虫の描写も凄くリアルで素晴らしい(……)。
 最後まで読者を退屈させない、良きサスペンス小説である。
 シリーズ二作目『骨の刻印』がすでに出版されている。

骨の刻印 (ヴィレッジブックス F ヘ 5-2)

骨の刻印 (ヴィレッジブックス F ヘ 5-2)