ラスト・エクソシズム/ダニエル・スタム監督
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フェイクドキュメンタリーといういまやホラー映画にありふれた手法を用いて、創造された傑作。
いんちきの宗教の儀式の一部始終を撮影し、その馬鹿馬鹿しさを世間に知らしめようとした一行が、本当の恐怖と出会うというストーリーは結構ありがちだが、撮影を決めたのが、その宗教儀式を行う当人……この場合は、悪魔祓いを行う牧師だ……というのが洒落ている。
牧師マーカスは、これまでに数々の悪魔祓いを行ってきた。しかし、それらはすべてトリックや卓越した話術を用いたもので、マーカス自身悪魔の存在など全く信じていなかった。転職を考えたマーカスは、ある子供の死を契機に、自分自身のいんちき悪魔祓いを撮影し、世に公表することで「すべての悪魔祓いはいんちきである」と訴えるつもりでいた。
最後の「悪魔祓い」に、撮影隊一行を連れて向かうマーカス。向かった先は、田舎の農場だった。父親と、思春期の兄妹が暮らしており、この妹が悪魔に憑かれ、家畜を殺しているとのことだった。依頼人は父親で、妻を一年前にに病で失っており、医療を全く信用せず、特異な宗教観を持ち、アルコール中毒で、子供達を学校に行かせていなかった。兄は、マーカス一行をうさんくさい目付きで見て(実際いんちきだったのだが)、「妹に近付くな」と警告する。
「悪魔祓い」を行いながら、クルー達だけの前では己のトリックを披露してみせるマーカス。しかし、少女の狂態はまったく良くならず、ますます怪異な現象が起こるようになる。
やがて、世の中のすべてのことは合理的に説明できるというマーカスの考えが揺らいでいく。
少女は怖い、本当にいるかもしれない「なにか」はもっと怖い、そして狂信的な父親も怖い。しかし、マーカス牧師は少女を救うため、最初として最後になるだろう、真摯な「悪魔祓い」に挑むのだ。
これは怖い。ラストの一撃が怖い。序盤でなんとなく聞き流していた会話が、じわじわと効いてくる。
期待していたジェームズ・ワン監督『インシディアス』や清水崇監督『ラビット・ホラー』が残念な出来だったのに比べ、これといって期待せずに見たこの作品や、セバスチャン・グティエレス監督『人喰い人魚伝説』がとても面白かったのは皮肉なことだと思う。
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