FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

大聖堂/ケン・フォレット

 オークシイ『紅はこべ』に続き、まだ読んだことのない古典を読みたいと思い、手に取った作品。文庫本三冊分という長さから、「いつかお正月に読もう」などと思っていたのだが、結局まったく関係ないときに読むこととなった。
 タイトル通り、大聖堂の建立とそれを巡る人々を描いた話で、小説の中で約半世紀の時間が流れる。それにも関わらず、善玉はずっと善玉、卑小な悪党はずっと卑小な悪党のまま、変わらない。人物造形がやや浅いようにも感じられるが、物語の持つ推進力はなかなかのもので、特にロマンス小説のファンとしては最終巻の前半に魅了された。善玉と悪玉が固定されているなかでも、ある登場人物が戦士としては有能だが、日常の生活において、金銭を稼ぐ能力にはまったくなく、肉親に迷惑をかけ続けるという描写がリアルだった。
 内乱が続く十二世紀イングランドイングランドの町キングズブリッジで、荒廃した修道院が修復されることとなった。この修道院をめぐり、貴族から僧侶、建築職人、そしてそれぞれの身内をも含み、様々な愛憎、陰謀と冒険のドラマが展開されていく。
 未読だが、続編に『大聖堂-果てしなき世界』があり。

大聖堂〈上〉 (新潮文庫)

大聖堂〈上〉 (新潮文庫)

大聖堂〈中〉 (新潮文庫)

大聖堂〈中〉 (新潮文庫)

大聖堂〈下〉 (新潮文庫)

大聖堂〈下〉 (新潮文庫)

↑当方が読んだのは、この新潮文庫