FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

悪魔と乙女/デボラ・シモンズ

悪魔と乙女 (ハーレクイン文庫)

悪魔と乙女 (ハーレクイン文庫)

 デボラ・シモンズは、最初に読んだ『舞踏室の微熱』が今一つだったので、なかなか別の作品に手が伸びなかったのだが、この『悪魔と乙女』はあらすじじがゴシックロマンス風だったので読んでみた……結構面白かった。著者の作品をまだ二冊しか読んでいないから、はっきりとは言えないものの、『舞踏室の微熱』のみがやや外れだったのか?
 若い女性プルーデンスがゴシック小説を執筆したのは、断崖に佇む館ウルフィンガー館の荒涼とした趣に創造力を刺激されたからだ。しかも、この屋敷の持ち主たる伯爵家には呪われた伝説がある。ある日、この家に伯爵家の兄弟がやってきた。弟は姿を消し、兄が殺害したのではないかという噂が立つ。
 やがてプルーデンスは「悪魔伯爵」セバスチャンをモデルにしたゴシック小説で評判を取り、同時にモデルとなった彼に惹かれて行くのだ。やがて彼らは、館の本当の秘密により、とんでもない騒動に巻き込まれていく。
 悪魔伯爵と呼ばれる伯爵(本当は責任感強く家族思い)と、眼鏡っ子のゴシック小説家のロマンスもさることながら、伯爵の弟ジェームズ失踪の真相など、読みどころたくさん。実に面白かった。