FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

ヘルナイト/トム・デ・シモーネ監督

 失礼ながら、さほど期待していなかったのだが、凄く面白かった。
 新入生歓迎の行事のため、ある家に泊まり込むことになった大学生の男女を、殺人鬼が襲うという、よくある内容のスラッシャー映画なのだが、よくできている。
 また泊まり込むことになったのが城館と呼びたくなるような見事な屋敷で、なおかつ襲われる若者たちが、華麗で古風なコスチュームに身を包んでいる(ヒーローとヒロインは、怪傑ゾロとティンカーベルだろうか)ので、ゴシックホラーの雰囲気さえ漂わせている。
 大学のあるクラブでの、新入生歓迎の恒例の行事は、かつての住人達が一家心中した館に一晩泊まり込むことだった。ただしこの心中話は不思議な点があり、家族の中でただ一人、ある男性の死体のみが見つかっていないのだ。
 新入生四人は、おそるおそる屋敷へと足を運ぶ。彼らは知らなかったが、先輩達が庭に潜み、彼らを怖がらせるため様々な悪戯を用意していた。
 だが新入生もその先輩達も、知らなかった。狂気の殺人鬼が、屋敷の中に潜んでいることに。やがて学生は一人、また一人と惨殺されていく。
 全体的なストーリーの流れのテンポよく心地いいが、もっともうまいと思ったのは、かなり最初の方でヒロインが口にしていた「父の工場を手伝っているから、車の修理には詳しい」という設定が、クライマックスで効いてくるところ。
 この伏線の使い方に、一番感心した。
 ホラー映画が好きなら、ぜひ。