FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

グッドナイト マイ・ダーリン/インゲル・フリマンソン

グッドナイト マイ・ダーリン 悪女ジュスティーヌ 1 (集英社文庫)

グッドナイト マイ・ダーリン 悪女ジュスティーヌ 1 (集英社文庫)

 スウェーデンの犯罪小説で、「悪女ジュスティーヌ1」である。続編である「シャドー・イン・ザ・ウォーター」を読了してから感想をアップしようと思ったが、結局こちらだけ先に読んでしまった。
 ストーリー自体は、とりたてて個性的なわけではない……悪女ジュスティーヌのタイトル通り、ヒロインが関わる様々な犯罪が描かれる……のだが、繊細な文章と、個性的な書き方で見せる作家である。
 ストックホルム郊外、美しい湖畔の館。ヒロインのジュスティーヌ・ダールヴィークは、製菓会社社長令嬢という恵まれた環境に生まれてついたものの、継母フローラからは虐待を、同じ年齢の子供たちからは酷い苛めを受けて育った。成人してから、ともにアジアに旅行に出かけた恋人には、浮気という裏切りを受けた。
 恋人とその浮気相手は、旅行先から母国に帰って来なかった。
 フローラはいまや高齢者介護施設に入っている。ある日、フローラをジュスティーヌが家に連れ戻した。
 少女時代のかつての苛めの首謀者が、ふらりとジュスティーヌの館を訪ねてきた。そしてある事件が起きた。
 これらの出来事は、時系列順には描かれない。パズルのピースのごとく少しずつ惨劇を予想させるエピソードが繰り出され、最後までほとんどそのスタイルは変わらない。
 熱く、冷たい復讐小説。しかし、関係者のほとんどはああなったはずなのに、どういった続編が書かれたのだろう。楽しみだ。

シャドー・イン・ザ・ウォーター 悪女ジュスティーヌ 2 (集英社文庫)

シャドー・イン・ザ・ウォーター 悪女ジュスティーヌ 2 (集英社文庫)