FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

ビューティ・キラー3 悪心/チェルシー・ケイン

ビューティ・キラー3 悪心

ビューティ・キラー3 悪心

 シリアルキラーものの嫌いな当方を虜としたシリーズ、第三作目。当初は三部作で完結の予定だったが、四作目も書かれたそうだ。
 グレッチェン・ローウェル。類稀な美女の中に隠れているのは、連続殺人鬼<ビューティ・キラー>の魂。ポートランド市警の刑事アーチーは妻子持ちでありながら、かつて捜査の協力者を装って近付いてきたグレッチェンに骨抜きにされ、あっさりと騙された揚句に監禁され、医療知識のある彼女に拷問され、彼女によって治療され解放された。
 グレッチェンは激しくアーチーに執着しており、またアーチーの方でも片時もグレッチェンのことが忘れられずにいる。「名探偵に執着するシリアルキラー」という構図はしばしば見られるが、これはそれをさらに推し進めた、名探偵とシリアルキラーのとても歪んだ恋物語である。
 あまりの美しさと、おそろしいほどの手際の良さと、並びなき残忍さで、すっかり一般的に有名人となったグレッチェン。阿呆なことにファンクラブさえ結成され、<ビューティ・キラーゆかりの地ツアー>なるものさえビジネスとして成り立っている。
 病院に入院中のアーチーの耳に、グレッチェン、もしくはその手法を真似た殺人事件の報が届く。グレッチェンの仕業が、あるいはファンの犯行なのか。
 先ほど、阿呆なことにと書いたが、日本にもグレッチェン・ローウェルのごとき存在がいたら、やっぱり誰かがファンクラブを作るに違いない。毎回毎回あらゆる手段で、心身共に痛い目に遭わされているアーサーだが、今度の作品でもさらに肉体的に痛い目に遭わされる。
 というわけで、シリアルキラー小説のファンや、精神的肉体的SMの出てくるロマンス小説が読みたい方や、マゾヒストの男性にお勧めしたい。

ビューティ・キラー1 獲物 (ヴィレッジブックス F ケ 3-1)

ビューティ・キラー1 獲物 (ヴィレッジブックス F ケ 3-1)

ビューティ・キラー2 犠牲 (ヴィレッジブックス)

ビューティ・キラー2 犠牲 (ヴィレッジブックス)