FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

THE LEGEND OF LUCY KEYES/ジョン・スティンプソン監督

レジェンド・オブ・ルーシー・キーズ [DVD]

レジェンド・オブ・ルーシー・キーズ [DVD]

 新参者が、閉鎖的な田舎町の「憑かれた家」ならぬ「憑かれた土地」に越してきて、散々な目に遭う映画。もっともさほどグロテスクな描写はなく、後味はさして悪くはない。
 舞台は自然豊か、風光明媚という言葉がまさにぴったりの、ニューイングランドの田舎町。二人の幼い娘を持つクーリー夫妻がここに越してきたのは、風力発電事業のためだった。
 しかし、町の人々の態度は冷淡だった。あからさまに、クーリー夫妻に警告してくるもの老女がいる。風力発電事業に使うはずの土地は、「マーサの土地だからやめろ」、と。
 マーサとは、250年前に、森の中で失踪した少女ルーシーの母親だった。マーサは肉体が滅んでも魂は地上を去ることができず、森の中をさ迷い、ルーシーを探し続けているという。
 馬鹿な、と思うものの、夫婦は動揺した。ちょうど彼らの末娘も、ルーシーという名前だったから。そして夫婦は知らなかったものの、現在のルーシーは、250年前のルーシーと森の中で顔を合わせていた。
 そして家で怪現象が起きる。夜になると、森からはルーシーを呼ぶ女の声がひんぱんに聞こえてくる。やがてクーリー夫妻の娘、ルーシーが失踪する。
 ぬるいと言えばぬるいホラー映画なので、もっと鮮烈な刺激を求めるホラー映画ファンはそっぽをむくかもしれないが、一つの作品としての水準は保っている。
 どうでもいいが、250年前も、そして現在も、自分だってまだ幼いにも関わらず「妹を見ていないと駄目でしょ」と叱られるお姉ちゃんは気の毒である。さらにマーサのルーシー殺しの犯人として目をつけられた先住民も気の毒だ。
 物語の最初に明かされるのだが、実話を元にしているそうだ(肝心の風力発電計画は結局どうなったんだろう)